第12回よなご映像フェスティバル結果発表
第12回よなご映像フェスティバル結果発表
  • Posted:
  • 2020.01.15
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第12回よなご映像フェスティバルは盛況裡に終了しました。

公募部門の入賞作品は以下の通りです。

☆グランプリ 大西宏志『旅メーション「死生学」』

☆準グランプリ 伊藤貴祥『ネギはからだにいい』

☆準グランプリ 川上喜朗『雲梯』

☆かわなかのぶひろ賞 田口あゆみ『ぬくめる、孵る』

☆森達也賞 山岸謙太郎『じぞう』

☆特別賞 Yamasaki『くらやみせかい』

☆特別賞 花房慎也『LOVE SONG』

以上7作品でした。おめでとうございます。

かわなかのぶひろ審査員コメント

今年のフェスティバルの際立った特徴は、グランプリを初めとするアニメーションの秀作が、ぐんと突出してきた点です。

実写作品の場合は、選ばれた被写体の魅力に大きく左右されてしまいます。とりわけアマチュアが人物を被写体とする場合、たとえば既成の俳優のような演技を要求すると、とたんにぎこちなくなってしまいます。
例外は高校生の演技でしょう。現役の高校生が高校生を演じる場合、職業的な俳優では決して出せない生き生きとした“はずみ”を見せてくれます。そのあたりの魅力を発見して楽しんでいただければ、このフェスティバルの、既成の映画にないふくらみを感じることができるでしょう。
観客が、それぞれの目で自分なりの映像を発見することが、このフェスティバルの最大の魅力なのです。

いい作品、上手い作品は世界中に山ほどありますが、このフェスティバルの“さまざまな視点”にふれあうことで、映像の思いがけない魅力を発見していただけたら幸甚です。

こういうコンペの場合、技術的に上手かったり、俳優がとても上手く演技してたりというだけでは、観客に届かないところがあります。
こういった作品の場合、二度と見ないこと、それから自分の本当にやりたいことをとことん追求すること、そういう形で取り組んでみると、なにか見る側に力強く届くものができると思います。
私は物語のほとんどない映画を撮っていますが、200人位の会場で上映をした時、一人も外へて出て行く人がいなくて、驚いたんです。ふつう一般の人が見る映画だと、俳優が出てなかったりするとどうしても途中から出ていく人がいるわけなんですけど、なにか作者の気合が伝わったかな、と、まあ自慢するようですけど、そういうような感じがとても嬉しかった経験が何度もあります。
ここでは映像を作る人も多いと思いますが、自分の一番やりたいことをいろんな角度から追求してみることが重要だと思います。
それから、第1回からずっと見ていますが、常連出品者がみんな、賞には入らなくてもみんなそれぞれ腕を上げてる、今回の作品を見ながら舌を巻きました。賞に入るかはまた別の要素がありますが、毎年作ってここで毎年見てる人は確実に腕が上がっています。他人の作品を観るということは自分の作品を見直して、よし、じゃあ今度はこうやって作ろうと、僕なんか思うんですけど。
作るだけで他人の作品を見ない人たちの作品というのは一目で分かります。幅の狭さが露呈されるようなころがあります。ぜひ色んな作品を見て、色んな作品を作ってみてください。

森達也審査員コメント

今回初めてこの映画祭に参加させてもらって、昨日もちょっと話したんですが米子は父の故郷でして、子どもの頃夏休みには江府町の日野川沿いの父の実家に預けられて、とても思い出のある土地です。

今年初めて呼ばれて、コンペなので事前に審査ということで作品を送ってもらって見たんですがちょっと驚いちゃいましたね、予想以上にレベルが高くて。
まずはそれが驚きでした。

同時に、今回の受賞作品にも表れてますけど、やっぱりどうしてもアニメとか、そうした方のレベルの高さに目がいってしまって、実写作品がもう少し元気があっていいんじゃないかな、ドラマであれドキュメンタリーであれ。
短い時間ということで撮りづらいかもしれないけど、いくらでもできます。
もっともっと、例えば実験的な作品とか、それこそかわなかさんがずっとやってる(イメージフォーラム)フェスティバルのような、そうした試みがあってもいいんじゃないかなと。

アニメとかと見比べると実写作品はわりとおとなしめなのが多かったので、そのあたりもう少し奮起できれば、より面白いコンペティションになるんじゃないかという気がしました。
でも本当に、もう一度言いますけど、地方の小さな映像フェスティバルですから、まあこの程度かなと予想していたらとんでもないっていう思いは新たにしました。

もしできればまた呼んでもらえればと思います。
おめでとうございます。