「よなご映像フェスティバル 2014」審査講評2
「よなご映像フェスティバル 2014」審査講評2
  • Posted:
  • 2014.12.21
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最終審査員:古川タク氏講評

2年前にも米子に来させていただいたんですが、今の若い人たちが作っている、いろんな種類のアニメーションがもっと観られると思っていたけど、ちょっと数が少なかったのは残念です。
それでも、今年の「映像進化論」のTシャツに描いたように、先ほどの大山の子供たちからお年寄りまで、自分たちの好きな映画を撮っているし、撮れる時代になったんだな、というのがとても面白かったです。
  かわなかさんのお話にもあったように、もっと個人的な、好き勝手な映画とかアニメーションとか、まだまだ表現の幅はあると思います。誰でも撮れる時代というのは、よく仕上がったというだけで面白い作品ができたと錯覚しがちなところが、例えば学生のアニメーションなどに見られますが、もっと自由気ままに作品を作ってもいいんじゃないかと思っています。
 
○グランプリ『see you,soon』
かわなかさんが仰ったとおりです。私も、夕景にシンプルな線のアニメーションが素晴らしかったと思います。2年前の座敷わらしも面白かったですが、今回のはまた一段と良かったです。おめでとうございます。
 
○準グランプリ『トライアングルSHR』
10人で考えたシナリオが素晴らしいです。高校時代ー青春時代の、お互いの距離の取り方、3人の関係の微妙な難しさが空間の歪みみたいになって…。それは、例えば学園もののアニメだと『時をかける少女』みたいに 突然ワープしちゃうものがあるじゃないですか。それを実写で、SF的なところへ行かないで、3人の関係が教室の中で終始していく、そこがとてもおしゃれな感じがしました。
 
○古川タク賞『もここの初恋』
さっきの大山の子供たちもそうでしたし、昨日の耳井さんにしても、子供が出てくるとてもいい映画を見せてもらいました。この作品も、出てくる子供たちもそうだし、お母さんたちが、映画としてとても自然なカット割りの中で、実に演技が上手いというのか、そのままのびのびとやっているのか、見ていて引き込まれていく感じがします。
昔イギリス映画で『小さな恋のメロディ』というのがありましたが、昨日からずっとその日本版を見ているような…。重いピアノを持って女の子が駆け出していくところなんか、もう…泣けましたね。

米子ガイナックス:赤井孝美氏講評

○ガイナックスシアター賞『アイコとかつ江さん』
かつ江さんと言えば鳥取市のキャラクターで、いろいろあってお蔵入りになったというエピソードがあるんですが、映画として持っている風刺のニュアンスと娯楽とのバランスがすごく良くできている。単にかつ江さんの話をネタにしてということじゃなく、一つの物語としてよくできていた。それから、かつ江さんが案外可愛かった(笑)。初登場の時の「私かつ江、ゆるキャラなの。」という自己紹介が良かったです。以前応募していただいたガチムチ系としてもすごく良くて、毎回福谷さんの作品は、映像フェスにしても映画事変にしても、もうちょっとで受賞、というところでスレスレだったんですよ。そこで今回賞を差し上げることができまして私も積年の胸のつかえが取れた、というわけです。